真言宗伝燈大阿闍梨
菅澤照真 師
「弘法大師」を開眼入魂した菅澤照真師は、高野山真言宗で伝燈大阿闍梨(でんどうだいあじゃり)の位を持つ、潮音寺の住職です。
開眼とは心の眼を開き、魂を込めること。「性根」が入ることで、美術品でなく、持つ人を本当に守る守護仏になるのです。
高野山の伝燈大阿闍梨は学問研鑽行事である勧学会に何年も出仕して修学し、阿闍梨位についてから15年から20年を経て、約10年に1度しか行われない学修灌頂に入壇した僧侶のみが昇進できる位。学修灌頂は完全な秘儀ですが、高野山御影堂で弘法大師空海御影に直接接し、直弟子になるものといわれます。
伝燈大阿闍梨は、加行を終えた僧侶に密教の秘法を伝える伝法灌頂においては、大阿様として導師になる立場です。
そんな菅澤師ですが、助けを求める市井の人々の相談にのり、法力で大勢を救ってきました。師の加持祈祷は、受け手の方々を目の前にしている場合だけでなく、顔も見たこともない遠方の場合でも効果をあげています。雑誌「パワースペース」の特集で、「ガンを治す驚異の密教僧」として紹介されたこともあります。
また気さくで暖かい人柄を多くの人に慕われ、求めに応じて全国を飛び回ってきました。
菅澤師はまだ高校生だった頃、人生の転機となる神秘体験をしています。導かれるように川に入ったとき、目の前に太陽のようなものがあらわれ強烈な光に照らされたのです。その太陽はどこを向いても正面に見え、非常に心地良かったといいます。まだ正式に行に入る前でしたが、以後友人知人のため祈ってあげると、面白いように願いが叶うようになりました。
やがて高野山別格本山遍照光院前官・酒井真典師(高野山大学元学長)の弟子となり、高野山大学密教学科に学びます。級友たちは菅澤師がなにか口に出すと、話された内容が次々と実現してしまうと怖がったといいます。
3回生のとき、究極といえる体験をします。当時菅澤師は、なにかに呼ばれている気がして高野山奥の院(空海入定の地)に1日5回も通っていましたが、あるとき自分の中で過去・現在・未来が同時に整列し、不生不滅の意識そのものとなり、自他の区別のない慈悲の意志だけがある世界を体験したのです。この体験以後、菅澤師の法力はいよいよ強烈なものとなり、病者加持の祈祷を学ぶと凄まじい効果を発揮しました。新米だった菅澤師のもとに、当時の高僧等から病気平癒祈祷の依頼がきたほどです。
高野山大学を卒業したあとも、菅澤師は台密(天台密教)、チベット密教、神道、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教を学びました。第二回シカゴ世界宗教者会議に参加したときは、ダライ・ラマ法皇に接見しています。
真言密教は富裕になることも、立身出世も、良き異性に巡りあうこともすべて肯定すると菅澤師はいいます。この身このままで悟りを開くと共に、繁栄、健康、成功、名声等の全てにおいて、自分自身の人生を完成させるものだといいます。過去でも未来でもなく、現在が大切なのであり、それで無ければ私達の人生とは何なのでしょうと説きます。